人生の道草




人生の道草(抵当権抹消)

 

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2021年 12月21日 新規に登録

本ページでは、住宅ローン完済時の抵当権抹消を自分で行う際の注意点を紹介します。                                 
                                      (費用等は2021年11月時点のものです。)

通常、サラリーマンが高額な不動産(戸建てやマンション)を購入する場合、金融機関から借金(住宅ローン)をして20年、30年と掛かって少しづつ返済していきますが、この住宅ローンを契約する際に、不動産に抵当権を金融機関側で設定します。この抵当権の設定は法務局で登録されます。

逆に、住宅ローンの全額返済が完了した際の抵当権抹消は、金融機関側が行うのではなく住宅ローンの借り手側が行う事になります。

抵当権抹消の手続きの方法は、次の3通りあります。

(1)金融機関経由で司法書士に手続きを依頼する。
(2)ローンの借り手が自分で司法書士を探し手続きを依頼する。
(3)ローンの借り手が自分で、法務局での手続きを行う。

それぞれの手続きの概要は、以下の通りです。

(1)金融機関経由で司法書士に手続きを依頼
  ・司法書士への手続きの委任状を金融機関へ送付
  ・金融機関経由で委任状等を司法書士に渡し、司法書士が抵当権抹消登記を実施
  ・抵当権抹消結果がローン借り手に送付される。
  ・費用(司法書士の手数料 + 法務局での登録免許税等の実費)を振り込む


(2)自分で司法書士を探し手続きを依頼
  ・金融機関から、抵当権抹消に必要な書類一式を受け取る
  ・自分で依頼先の司法書士を決め、委任状及び抵当権抹消に必要な書類一式を渡す
  ・依頼された司法書士が抵当権抹消登記を実施し、その結果を受け取る
  ・司法書士に費用(司法書士の手数料 + 法務局での登録免許税等の実費)を支払う


(3)自分で法務局での手続きを実施
  ・金融機関から抵当権抹消に必要な書類一式を受け取る
  ・自分で、抵当権抹消に必要な申請書を作成し、法務局に提出する。
  ・約10日後に法務局で、抵当権抹消申請結果を受け取る
  (費用は、法務局での登録免許税等の実費のみ)

この内で、一番簡単なのは(1)で、費用も 法務局への申請費用 + 司法書士の手数料(8,000円程度で、)です。(司法書士の手数料は、通常金融機関と関係している司法書士の方が、個人で依頼するより安くなります。)

次に(2)の方法は、司法書士の費用が15,000程度になるので、(1)より費用がかかります。

(3)は、自分の手間は掛かりますが、費用は法務局での申請費用 + 法務局への交通費等 で一番安く済みます。

普通、現役の人は(1)金融機関側に一括して依頼 する方法を選択しますが、退職して無職の私は(3)自分で法務局での手続き の方法を選択しました。

そこで今回 私が法務局のHP(ホームページ)や、ネットで「抵当権抹消を自分で行う方法 等」を見ながら抵当権抹消手続きを行った際の、失敗、気付いた点などを紹介します。

自分で抵当権抹消手続きを行う


不動産の抵当権の抹消手続きを行う機会は、一生に1回又は精々2回程度しかありませんし、また抵当権抹消以外でも、法務局での手続きを自分で行う機会も殆どありません。
従って、法務局のHPで、各種手続きの説明を読んでも、用語の内容を調べながらでないと理解できない部分も多いです。

今回、私が自分で実際、抵当権抹消の手続きを法務局で行った際に、指摘された点や、気が付いた点を紹介致します。

(注意:今回紹介する内容は、抵当権を設定後に、金融機関や自分の住所の変更等がなかった、単純はケースですので、途中で住所変更等があった場合は、さらに必要となる書類があります。)


1.必要書類の準備


抵当権抹消に必要な書類は以下のものでした。

(1)登記申請書
  法務局のHPから申請書のフォーマットを取得し、HPに登録されている<記載例>を参考にし申請書を作成しま  す。
 (この申請書の作成が作業の中心ですので、次の2項に詳細に説明します。)


(2)登録免許税貼付用台紙 (登録免許税分の収入印紙を貼るためのただの白紙です。)

(3)抵当権設定契約証書等(金融機関から送付されます。)
  今回の抵当権抹消登記することの根拠となる書類です。

  私の場合、B4サイズの用紙が2つ折されていて、
  左側に「抵当権設定契約証書」と記載され、債権者である、私の氏名、実印等の記入があり、、右側に物件の表示  、法務局の「登記済み」の朱印、さらに「本契約は解除」する旨の金融機関名、印があります。
  法務局には原本を提出しますが、手続き完了後に原本の返却を希望する場合、コピーも添えて提出します。

  
私は、この書類のコピーを取る際、裏側は一般的な色々の説明文の印刷だけで、会社名や物件名、日付等    の記載がなかったので、表側のみコピーしましたが、裏側もコピーする必要がありました。

(4)委任状(金融機関から送付されます。)
  抵当権抹消の手続きを、金融機関が他に委任する委任状です。
  
委任状の中の依頼先の部分が空白になっていますので、その部分に自分の住所と氏名を記入します。


 

2.登記申請書の作成

法務局のHPに登録されている登記申請書の記載例は、次の通りです。
尚、水色で←〇付の番号は、当方で説明の為に、追記した部分です。

*************** 以下 記載例 **************

<記載例>  (記載例の解説及び注意事項等は,5ページ以下を御覧ください。)

* この記載例は,土地又は建物に設定された抵当権(金融機関等の法人が抵当権者となっているもの)が解除又は弁済等により消滅した際に,個人が書面で抵当権の抹消の登記を申請する場合のものです。

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

受付シールを貼るスペースになりますので,この部分には何も記載しないでください。

 

 

 

      登 記 申 請 書

 

登記の目的  抵当権抹消(順位番号後記のとおり)(注1)

 

原   因  令和解除(又は「弁済」等)(注2)  ←①

 

権 利 者    ○○郡○○町○○34番地     ←②

                   法 務 太 郎   (注3)

             

義 務 者    ○○市○○町二丁目12番地    ←③

                        株式会社○○銀行

会社法人等番号 123456789012 

                                代表取締役 ○○○○(注4)

添付情報    ←④

   登記識別情報(又は登記済証)(注5) 登記原因証明情報(注6)

  会社法人等番号(注7)   代理権限証明情報(注8)

登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由(注9)

  □不通知 □失効 □失念 □管理支障 □取引円滑障害 □その他(    )

 

令和申請 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所) ←⑤

 

申請人兼義務者代理人   ○○郡○○町○○34番地     ←⑥

               法 務 太 郎  印 (注10

                  連絡先の電話番号0000000000(注11

 

登録免許税  金2,000円(注12

 

不動産の表示(注13

  不動産番号    1234567890123(注14

 所   在  ○○市○○町一丁目

  地   番    5番

 地   目    宅地

 地   積    250・00平方メートル

(順位番号 3番)(注1)

 

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○○市○○町一丁目5番地

 家屋番号  5番

 種   類  居宅

 構   造  木造かわらぶき平家建

 床    積  120・53平方メートル

(順位番号 3番)(注1)


************ 以上 記載例 ************

 以上の記載例を参考に、提出する「登記申請書」を作成しますが、その際、指摘された点、及び気付いた点を紹介します。

 権利者の住所
  例では、「〇〇市・・・」と都道府県名が無かったので、東京都を省いて「○○区・・・」と記入したところ、住所は都道府県名から記入するように と指摘され 「東京都・・・」と修正しました。
従って、他の住所の記載(義務者、申請人兼義務者代理人)の住所も、都道府県名から記入しました。

 添付情報
  この項は「添付
情報」となっているので、添付した書類の名称ではなく、書類の中の情報名を記入しました。
 ・私の場合、「抵当権設定契約証書」の中に、「登記済」の朱印が押され、さらに「本契約は解除」した旨の記載  がありました。
  最初、「抵当権設定契約証書」と記入しようと思いましたが、考え直して1枚の書類ですが内容から「登記済証」と「登記原因証明情報」と記入しました。
 ・金融機関から送付された委任状の書類の表題は「委任状」となっていますが、「代理権限証明情報」と記入し  ました。

 申請日
  記載例では、
の原因の日付との申請日が同一の日になっていますが、実際には、がローンの返済  が完了した日付であり、の申請日は、その後に実際に法務局に登記申請書を提出する日付になります。 
 

3.法務局への登記申請書の提出等


 (1) 提出先:対象となる不動産を管轄する法務局(出張所等)へ提出します。
    (自分の住所の管轄ではありません。)
   ・申請について、提出前に法務局の窓口で確認することができますが、現在(2021年11月時点)は新型コロナ    禍のため、電話による確認になっていました。
   ・法務局に申請書を提出すると、申請処理が完了する日が示されます。(提出後 約10日後)
   (申請書を提出した際には、書類が揃っているか程度の確認です。申請書の内容に間違い等があった場合は、   後日、法務局から連絡があります。)

 (2)登記完了証の受け取り
   指定された日以降に法務局に行き、「登記完了証」を受け取ります。
  (「登記完了証」は、登記申請に基づく登記が完了したことの通知文書です。)
   登記完了証は2部発行されます。1部は、金融機関用ですが、通常 金融機関では郵送等不要としています。

 (3)登記事項証明書
   この証明書の取得は必須ではありませんが、実際に抵当権が抹消されたかの確認ができます。
   本証明書の取得に600円が必要ですが、証明書内に「抵当権抹消 申請書を提出した日」等が記載されおり、
   実際に抵当権が抹消されていることを確認出来る書類です。

 

4.最後に

私は退職後で時間に余裕が有りましたので、抵当権抹消の法務局への手続きを自分で行いました。
法務局に、合計3回足を運び、2回電話で不明点の確認、書類のコピー等で多少時間は要しましたが、いい経験となりました。

 






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